研究

プラスチックストローからのぞく世界の変え方

環境保全という分野に携わっていると、必然的に暗く憂鬱な現実に直面する機会が数多くあります。 世界的な増加が続く二酸化炭素排出量、激減したウナギを消費し続ける人々、歯止めのかからない熱帯雨林の消失等々。どうすればこの「世界」(人間の行動や社会…

世界のどこで生物は減少しているのか?

鳥学会の鳥学通信に先月Natureで発表した論文について寄稿しました:http://ornithology-japan.sblo.jp/article/182423464.html

違いを作り出す科学

鳥学会鳥学通信に寄稿しました:http://ornithology-japan.sblo.jp/article/180051618.html

残留派の中心から見たブレギジットと環境科学

私にとってイギリスで研究を行うことの大きな魅力の一つは、人材の盛んな交流でした。日本の大学に様々な都道府県の出身者がいるのと同じように、イギリスの研究拠点には世界中から様々な人々が活発に出入りしており、もちろんその背景にEUという枠組みが多…

DAB

2016年が明けてもうしばらく経ちますが、改めまして明けましておめでとうございます。 昨年12月初めから、ついに改修が完了した建物に引っ越し、新しいオフィスで過ごしています。この建物は、イギリスではナチュラリストのみならず多くの一般人からも絶大な…

Biological recording 最前線

Biological recordingという言葉は、イギリスでは既にかなり浸透しているように思います。広義では生物に関するあらゆる種類の調査・観測、狭義ではいわゆる市民科学によって生物の在データを記録することを意味する言葉で、日本語では「生物観測」というと…

メッシと滅私

こちらでも初夏の雰囲気が感じられるようになってきました。天気のいい日が多く、日も長くなり、何もかもがまるで輝いているかのような季節です。この季節だけ見るとどこに行ってもなんて素晴らしいところなんだろうか!と思ってしまうので、こちらでの物件…

新年

2015年が始まりました。こちらでは冬は学期の中間で、1年の区切りという感覚はあまりないのですが、やはり日本人にとって年末年始の特別さはちょっとやそっとでは薄れないものです。 昨年一年を振り返ると、自分がどのような研究者で何を目指していきたいか…

国際学会

4年に一度のInternational Ornithological Congress(IOC)が、いよいよ1週間後から東京で開かれます。4年以上前から日本鳥学会を中心とした多くの方々が費やしてきた努力が結集される大会で、大変楽しみにしています。私もChris Elphick氏と企画している “…

夏全盛

ワールドカップ、なかなか本来の持ち味を出せずにいますね…。渡英してから特に海外組の選手達には一方的に共感をもって過ごしてきましたので、彼らの気持ちを考えるとなかなか応えるものがありました。コロンビア戦、必ず悔いの残らないような試合をしてくれ…

気候変動は主に生物間相互作用の改変を介して種に影響を及ぼす

Ockendon, N., Baker, D.J., Carr, J.A., White, E., Almond, R.E.A., Amano, T., Bertram, E., Bradbury, R.B., Bradley, C., Butchart, S.H.M., Doswald, N., Foden, W., Gill, D.J.C., Green, R.E., Sutherland, W.J., Tanner, E.V.J. and Pearce-Higgins…

ジクロフェナク禁止以降のエジプトハゲワシ(Egyptian vulture)とミミハゲワシ(Red-headed vulture)の運命

Galligan, T.H., Amano, T., Prakash, V.M., Kulkarni, M., Shringarpure, R., Prakash, N., Ranade, S., Green, R.E. and Cuthbert, R.J. (in press) Have population declines in Egyptian vulture and red-headed vulture in India slowed since the 2006…

ミミジロコバシミツスイ(white-plumed honeyeater)が示す長期体サイズ変化は温暖化が原因か?

Gardner, J.L., Amano, T., Mackey, B.G., Sutherland, W.J., Clayton, M. and Peters, A. (in press) Dynamic size responses to climate change: prevailing effects of rising temperature drive long-term body size increases in a semi-arid passerine…

生物多様性にとって景観の異質性は常に「善」?

今年に入ってから最近の共同研究から共著となっている論文が立て続けに発表となりましたので、簡単に紹介していきたいと思います。 Katayama, N, Amano, T., Naoe, S., Yamakita, T., Komatsu, I., Takagawa, S., Sato, N., Ueta, M. and Miyashita, T. (in …

開花時期を早めるか、それとも分布域を変化させるか

新しい論文が出版となりました。 Amano, T., Freckleton, R.P., Queenborough, S.A., Doxford, S.W., Smithers, R.J., Sparks, T.H. and Sutherland, W.J. (2014) Links between plant species’ spatial and temporal responses to a warming climate. Proce…

オーフス

デンマークでコペンハーゲンに次ぐ第二の規模の都市、オーフスに行ってきました。街のほぼ中心に位置するオーフス大学では、生態学の分野では今回のホスト役となったエンス−クリスチアン・スベニング氏らを中心として、生物地理学やマクロ生態学が盛んです。…

イギリスと給餌

こちらでも紅葉の時期となりました。とはいえ鮮やかな赤い葉の木はほとんどないので黄葉ですね。 また、引っ越してから研究室が5階となったため、夕陽や鳥を見る機会が増えました。キセキレイが大学の屋上に居ついていること、ハヤブサがキングスカレッジ礼…

パートIIプロジェクト

11月を目前にして、いよいよ本格的な冬の冷たい空気が感じられるようになってきました。日中の天気は比較的いいのですが、先週末を境に冬時間に戻ったため、夕方の暗くなり方が半端ではありません。帰宅時に暗い日が続くと、もう今年も終わりだな…と思ってし…

研究室引っ越し

ようやくフェローシップへの応募を終えました。少しだけ締め切りのずれた2つの応募があったのですが、最初に提出した方がはるかに短いプロポーザルでよかったため、一旦完成させたプロポーザルを二つ目にあまり活かせないという苦しい結果に…。締め切りを直…

文章

9月に入ったなと思っていたのもつかの間、いきなり冬のような気候になってしまいました。秋はどこに行った?と取り乱しかけましたが、よく考えれば季節は4つというのも固定観念なのかもしれませんね。いずれにせよ、冬の前に秋という季節があることは素晴ら…

インテコル参加

INTECOL2013での濃密な1週間が終わりました。地元という気楽さと、日本から参加された方々とも久々に会えるといういいとこ取りで、間違いなくこれまで参加した国際学会の中でも最も楽しめた大会のひとつだったと思います。 分野や地域、全てをひっくるめた大…

インテコル

いよいよINTECOL 2013が1週間後となりました。日本からも多くの方々が参加されるようで、楽しみにしています。 今年はイギリス生態学会創立100周年記念も兼ねているそうです。何年か前にそれを知った時には、2013年にイギリスにいられるかどうか分からないな…

あなたはいつ論文を投稿しますか?

7月中旬から続いていた猛暑もひと段落したような気温が続き、そろそろ夏も終わりか…?と思わせる毎日です。 学校が夏休みに入ったということもあってか、ビルやアンドリューなど教授陣も続々と夏休みに出かけていきました。ティータイムに顔を合わせて話して…

Altmetric it

Research Excellence Framework (REF)という、イギリスにおける高等教育機関の研究成果を一斉に評価する取組みが来年行われるそうで、大学の事務はその準備に忙しくしているようです。システム上の業績リストを各自確認してほしいというメールが学部事務から…

マックナリー

マックナリーという研究者の名前を初めて目にしたのは、hierarchical partitioningという統計手法を初めて勉強したときのことでした(6年以上も前のことです…)。 当時はこの手法自体にはとても衝撃を受けたのですが、著者自体には特段注意を払わず、Mac Nal…

共著論文

共著論文が二つ発表となりました。 Williamson, L., Hudson, M., O'Connell, M., Davidson, N., Young, R., Amano, T. and Székely, T. (2013) Areas of high diversity for the world's inland-breeding waterbirds. Biodiversity and Conservation 22: 150…

Silwood Park

インペリアルカレッジのSilwood Parkでセミナーの発表を行ってきました。ロブ・ユーワーという何度かあったことのある研究者とメールのやり取りをしたときに、せっかくなのでとお願いしたところ、招待してもらえることとなりました。 とはいえそのロブは当日…

SCCS2013

この週末、まさかの雪でした。例年ならもっと暖かいのですが…。日本では桜満開とのニュースを聞くと、何とも桜が恋しくなります。 先週には、毎年この季節のケンブリッジで恒例の、Student Conference on Conservation Science の2013年大会が開催されました…

4つの障壁

新しい論文が出版となりました。 Amano, T. and Sutherland, W.J. (in press) Four barriers to the global understanding of biodiversity conservation: wealth, language, geographical location and security. Proceedings of the Royal Society B: Biol…

BES

すっかりとクリスマスムードの中、久しぶりに12月開催に戻ったイギリス生態学会の年次大会に参加してきました。バーミンガム大学での開催です。 イギリス生態学会は恐らくイギリス国内では最大の生態学関連の学会だと思いますが、それほど巨大ではなく、大…