Orchid diversity

TREE clubは第三回目を迎えました。
 今回おもしろかったのは、ランの多様性について。ランには、実は蜜をもっていないのにもっている種に花を似せたり、ポリネーターのメスに似せたシグナルを出す花をつけたりすることで、ポリネーターを騙しておびき寄せる、という種が数多くあるそうです。
 特におもしろいのは、ポリネーターの採食行動との関係。蜜を持っていない種に訪花してしまったポリネーターは、その花の次には遠くの花に行ってしまいます。一方で蜜を持っている種に訪花したポリネーターは、その花の次にはすぐ近くの花を訪れます。その結果として、蜜をもっていない種のほうが、集団間での遺伝子流動の頻度が高くなるそうです。このポリネーターの行動はArea Restricted Searchという、多くの分類群で知られている食物の探索方法なので僕も知っていましたが、植物種にこういう影響を与えるというのは、なかなかに面白かった。
 さらに議論で出ていたのは、だまし続けていればポリネーターによる訪花自体が減るのではないかということ。しかしこれも、ある先生の説明では、ランはそれほど集中して咲く花ではないので、ポリネーター自体にとっても周辺に他の花が多くあれば、だまされるコストは小さいのではないかということでした。
 ふだんなら、まず読まないと思う論文も、こうやって読んでみると面白いし勉強になりますなぁ。