いくつか文献。

自分的にいくつか興味深い論文を読んだのでご紹介。。。

  • van Gils et al. 2006. Foraging in a tidally structured environment by red knots (Calidris canutus): ideal, but not free. Ecology 87:1189-1202.

D論のメインテーマとかなりどんぴしゃな内容。採食者の情報のある/なしによって異なる意思決定則、またそれによって得られる空間分布と採食成功の違い、といった問題を複数モデルによる予測と実測データの比較によって検証。。。
ってまるで俺、マネしてるみた〜い!
正直もっと以前に発表されてなくてよかった。。いまいちモデルの詳細が読んでもわからなかったところが難点だけれど、テーマとしてもアプローチとしても好きな研究。行動圏が800平方キロある採食者が、"ideal"に振舞っていたという結論は、public informationを使っているだろうという考察を差し引いても衝撃的。

  • Rodriguez et al. 2006. How do crop types influence breeding success in lesser kestrels through prey quality and availability? A modelling approach. J. Appl. Ecol. 43:587-597.

こちらも、まだ投稿していないD論の一部分にアプローチが似ているもの。個体の採食行動と個体群動態パラメータの間を個体ベースモデルでつなぎ、農地管理手法が個体群動態に与える影響を評価した研究。一見、結構シンプルな研究のように見えて、そのバックグラウンドにはかなりインテンシブないくつもの研究があるのは、やっぱりというところ。海外でもこんなに研究の進んでいる猛禽がいるんですねぇ。。。日本でもうかうかしていられない?!

  • McGill et al. 2006. Rebuilding community ecology from functional traits. TREE. 21:178-185.

3番目の紹介だけれど、印象の強さはダントツ。といっても自分で見つけたのではなく、例によってYMRさんのご紹介。いつもどもです。。
"種"に捉われ、少数の種間での相互作用に注目してきたこれまでの多くの群集生態学の研究に対し、functional traitsやenvironmental gradientsを単位とした研究が、群集生態学において一般則を導き、ひいては環境変化などに対する予測を可能とするのではないかという主張。「単一種ばかりに注目したアプローチの難点はよくわかるけど、ただ対象とする種数を増やせばいいってもんじゃないし・・・」、と悶々としていた頭が、何だか少しすっきりした。しかも、一般則を導く研究アプローチと、個々のメカニズムを解く研究アプローチ、それぞれの重要性も改めて整理できたような気がする。"万有引力の法則のメカニズムはまだわかっていない(けど、ロケットを正確に飛ばせるようになった)"という下りはかなりインパクトがあった。(けど本当なんだろうか。。)
最後の論文については、TO大のTREE clubでももう読まれたのでしょうか?どんな議論があったのかもしよかったら誰か教えてくれないかな〜・・