飽食

ここしばらく研究室で普通の(と願いたい…)風邪が流行り、一通りの人が順ぐりに休むという事態がようやく落ち着いてきました。タツヤは免れたねと話題に上ったので、そりゃぁうがい・手洗いを徹底したからと主張したところ、「うがい…する人もいるよね。」と若干ひかれました。
新型インフルの予防策としてイギリスではCatch it, Bin it, Kill itというキャッチコピーを立て、くしゃみはティッシュで受け止めて捨てるよう宣伝していました。ただそんなことをしている人は見たことがないし、マスクはないし、うがいはしないし…そりゃ風邪も流行りますよね。。。
学部主催セミナーでの二回目の発表を無事終えました。発表したテーマは渡英後に取り組み始めたもので、使うデータや手法が二転三転しながら日英のいろいろな人に協力していただいたおかげで、ようやく最近になってひとつの形にまとまったものです。研究室のメンバーや関連分野の人が中心でしたが、タツヤのトークだからと日程をわざわざ聞いて集まってくれた人も多く、嬉しい限りでした。
スライド50枚・40分弱の発表準備はだいぶ大変でしたが、時間を費やしただけあって発表もスムーズに終えることができました。気になっていたのはみんなの反応ですが…これもかなり好感触でした!皆口々に分かりやすく面白いトークだったと感想を述べてくれ、質疑応答や議論も盛り上がったのを後から振り返り、あぁ本当に面白く感じてくれたんだなと改めて実感しました。
自分の研究についてうまく伝えられた発表後には、いろいろな「話」が持ちかけられて発展していくことが多々あります。今回も、発表で紹介した研究グループと思わぬ人がつながっていてコンタクトを取ってみるかと勧めてくれたり、やはり発表で紹介した研究で使われているデータを自分で解析している人が話に来てくれたりと、クラクラするような話が相次ぎました。ここでは様々な研究テーマを実行できるチャンスがいくらでも転がっています。あのグループとコンタクトを取りたい、あの研究対象に取組みたい、と本気で思えば、始められないことはないんではないかとすら思えます。
特にビルは生粋のアイデアマンで、かつ国内外に幅広いコネクションを持っており、彼のところに来て本当によかったと思っています。彼は発表なり論文なりに関して何かアイデアを思いつくと、その大小に関わらず僕を自分の部屋に呼んで、「この研究アイデアはどうだろう?」と意見を求めてくれます。最近ではビルはこのシチュエーションを回転寿司になぞらえて”Sushi-belt conveyor system”と称するのがお気に入りです。「回ってくるスシを取るかどうかは君次第」。お客の側は「動いているものは全て手を出す」原則で対応しており、常に飽食気味ですが(苦笑)。
いずれにしても今回の発表は、研究テーマの設定からアプローチ、結果の意義、発表まで含めて、一通りの研究の形を多少なりとも認められたという自信になりました。一日を終えて帰宅するとどっと疲れが出て、思っていた以上に自分でもこの発表には期するものがあったんだなと実感しました。同時に、残りの滞在はいよいよ三ヶ月を切ってしまいましたが、もう一度気持ちも新たに、貪欲に研究生活を楽しんでいきたいと決意しました。