ところ違えば

tatsuamano2010-03-01

米子水鳥公園で開かれた、モニタリング1000ガンカモ類検討委員会と調査員集会に参加してきました。
宍道湖はマガン捕獲で訪れたことがあったものの、中海は初めてです。「鳥取」という名前は、実際に「鳥(しかもハクチョウ)を取る」ことに由来しているそうで、水鳥研究にとっては聖地のようなところかも…?「八雲立つ」という美しい言葉も教えてもらいましたが、その言葉そのままに幾重もの雲に覆われたような山景が印象的なところでした。もっとも一年中ジトジトしているので、住んでると嫌になってくるそうです。。。
検討会ではいよいよ第一期の取りまとめとなるモニタリング成果と課題について議論が行われました。ガンカモ類のモニタリングデータは日本の鳥類の中でも最も豊富な部類ですが、今年は全国レベルでの個体数変化の定量化も進み、だいぶ成果が出てきているという印象を受けました。
調査委員会集会では、中国地方で実際に調査されている方々の詳細な話を聞かせていただきました。最近はモニタリングデータを扱った研究を行う機会が多いのですが、エクセル表をびっしりと埋めるひとつひとつの数字の裏にああいった話があるということは、頭では分かっているつもりでもやはり直接話を伺うと身に染みて実感されました。
会の前後では現地の湿地や農地もいろいろと案内していただきました。
水鳥公園ではクロツラヘラサギを見ることができました。全世界で総個体数が約1700という絶滅危惧種です。

遠すぎる…でもクチバシが大きいのはかろうじてわかる
近くで行われている冬期湛水田はコハクチョウやカモ類のねぐらとして利用されています。

6圃場ほどだが面積はかなり広い

徐々に採食地へ

落ち籾や水田雑草も食べるが、水田の約5割が転作されている大豆も採食するそう

マガンもいました。ハクチョウにない地味さが改めていい。
冬期湛水田周辺では、まさに圃場整備が進められている最中でした。整備済み水田はなんと用・排ともに埋設されたパイプで行うというハイテクぶり。秋耕があまり行われず、二番穂も多いことから冬鳥の食物は豊富そうでしたが、夏の水鳥や水生生物には厳しい環境のようです。

ハイテク水路。左=用水、右=排水

ハイテク水路に並々ならぬ関心をよせる人々。
その他にもホオジロやウグイスの囀りに春を感じたり、ホシムクドリシロエリオオハムオシドリ越冬地なども見ることができたり、想像以上に充実した行程となりました。お世話していただいたバードリサーチや水鳥公園の方々、どうもありがとうございました。
茨城に帰ってくると、ほとんどの水田が耕起済みであることに改めて気づいたり、鼻が再びむずむずしてきたりと、巨視的な捉え方の大切さを再確認することができました。