裸のベーコン

ある日、とあるスーパーに立ち寄ると、

田丸屋の本わさび(チューブ)が売ってる!日本のスーパーで撮った写真ではありません!
静岡出身の者としては感激を通り越して驚きです。"Sweden: Black Salt" の札の後ろに置かれていたことには目をつむりましょう!来月には静岡市を訪れる方も多いことと思います。お土産には是非、田丸屋のわさび漬けをお試しください。黒はんぺん、もしくは熱々のご飯の上にのせればそれはもう…。食べたくなってきました…。
また別の日、別のスーパーに立ち寄ると、

写真では少し分かりにくいかもしれませんが、ベーコンのパックにベーコンが入っていません!しっかりとパックされ2つで4ポンドと書かれているところを見ると、本当はベーコンが入っているのに、私が愚かなために見えないだけなのかもしれません。戸惑いながらも少し自信を失いましたが、保守的なのでそっと奥のパックに手を伸ばしました。

さて、そんなネタを豊富に提供してくれるイギリスのスーパーですが、ここのところ(こちらでは)笑いごとでは済まされない騒動が起きています。馬肉偽装問題です。
スーパーの加工食品やバーガーキングハンバーガーなど、牛肉として売られているものに馬肉(時には100%!)が混入していたという問題で、大きな騒動となっています。ナショナルジオグラフィックのこちらの記事にも簡潔にまとめられています。
馬肉偽装問題、食文化を考える契機に
この問題、初めて聞いた時にはあまり気にも留めず、「そう言えば昔ハンバーガーにはミミズが使われていると言われてたっけな…」などとアホなことしか考えていなかったのですが、イギリス人にとっては想像以上に大きな問題なようです。
ある日、研究室の皆でお茶を飲んでいる時にこの話題になって話を振られたので、「日本では…馬肉普通に食べますけど…?」と思わず言うと、「普通に食べる!?」と驚いた皆に声を揃えて聞き返されてしまいました。その強烈な反応に、「あ、いや、一部地域で伝統料理として…?」と急いで補足したのですが、少し間違った印象で伝わってしまったかもしれません…。
その後の会話やネットなどで理解したところによると、馬は特に英米ではペットとしての地位が確立されているため、それを食することには文化的に相当な抵抗があるということだそうです。Wikipediaにはタブー食(taboo food)という言葉で紹介されていますね…
馬肉はヨーロッパの他の国では結構食べられているようなのですが、特に日本人と比較すると、イギリス人は食に対して保守的というか、冒険しない傾向があると思いますので、そんなところも多少影響しているかもしれません。
同様の例としては犬食文化があると思いますが、確かに日本のスーパーのひき肉に犬肉が混じっていたら大変な騒動になるでしょう。文化的な違いには驚かされることも時々ありますが、少し置き換えて考えるとすんなり理解できたりすることもあります。
日本との根本的な文化の違いに気付かされることは、今回のような例から、有名な芸能人を知らないなど些細なことまで、様々な場面で数多くあります。特に今回のように、ふとした瞬間に英語で日本のことを正確に伝えるのには苦労していますが、代わりに毎日新しい発見も尽きません。例えば、パソコンのマウス、複数形になるとmiceでもmousesでもいけるけど、どちらかと言えばmice、って知っていましたか??
と、そんなことを書いていたら馬刺しが食べたくなってしまいました…。静岡では…食べられなさそう…。