お礼参り其の一:みやじまぬまのトリ

tatsuamano2006-05-04

行ってきました。
連休を利用して、これまでずっと調査を行ってきた北海道、美唄へ。
僕がこれまで研究をしてきたマガンという渡り鳥は、何ともはっきりとしたトリで、渡り中継地である美唄宮島沼に6万羽もいたかと思えば、渡りの時期がくると、ある条件のそろった数日に集中して一気に渡去してしまいます。春は例年、5月GW前には大方の個体が渡去してしまうので、今回も行く前はマガンの大群を見るのは半ば諦めていたのです。それでも少しは拝めれば、と思って3日の早々に北海道に向かったのです。
そしたら!
いました!たくさん。残っていてくれました!
5月3日に5万近くの個体が残っていたのは、ここ何年もなかったことではないでしょうか。何とも奇跡的です!
(もっともこの背景には、この冬の長い積雪期間が原因としてあり、その影響で作物の小麦は病気の大打撃を受けるという深刻な事態もあったのですが・・)
おかげさまで3日の夕暮れ時には、ピーク時と遜色のない素晴らしいねぐら入りの光景を堪能することができました。
そして4日早朝。
天気は晴れ。風も穏やかな南風。
4時前に渡りを見るポイントに着き、南の空を仰ぎます。
すると。。
来ました!
はるか南の空から、黒いシミのような影が徐々に大きくなります。
それはそのうちゆっくりと波打つマガンの隊列とわかるようになります。
あっという間に、頭上高く、澄み切った早朝の空に、大きなV字をかたどった群れが広がります。
ふと気づけば、そのような群れがあちらにも!こちらにも!空一面に広がっているのです。
その渡りの光景は、これまで見たどの年のものよりも壮観でした。今回、メイン調査地としての美唄を引き上げるにあたって、マガンを見たらどんな気持ちになるだろうと想いをめぐらせていたのですが、いざその場に立ってみれば、いつもと変わらない気持ちでした。「すごい!」「もういなくなっちゃうんだなぁ・・」「また秋には無事戻ってくるかなぁ・・」
ただひとつだけこれまでと違ったのは、3万羽を数えた大群が頭上を通り過ぎ、最後の群れが北の空に見えなくなったとき感じた、大きな寂しさでした。もうここでずっと調査をして、最後に特別な気持ちをもってマガンの北帰行を見送ることはないんだなと思うと、それはもうとてつもなく寂しく感じられました。
その後の美唄での滞在期間中、残った調査を手伝うため、いつものように広大な田園風景の中を車で走り回りました。確かに田や畑以外にはほとんど何もないところですが、よく晴れた午前中、冷たい空気を感じながらこの農道をマガンを探して走り回るのが、僕はとても好きでした。
メインのテーマからマガンは外れますが、幸い今後もマガンの研究を続けていくことはできそうです。これからも何とかして、またここに戻って来たいと心に誓うのでした。
−続く−
(って物語かよっ;^^/)