よそ様の。

ここ一週間ほど、デスクワークとしてはもっぱらよそ様の取ったデータを解析し、論文化を進めています。
そもそも今年1年は、適切なフィールドを探しながら、既存の公開データや研究室持ちのデータの解析も行うつもりでいます。これまでの自分を振り返ってみると、自分のフィールドにとらわれずに一歩引いた視点から研究を進められるのは結構貴重な時間かなと思っているわけです。この機会に、これまでの自分の研究内容に関連して、総説も書いてみようかななどとも考えています。
それはともかく。
この「よそ様」の取ったデータを扱うのは初めてのことで、結構戸惑っています。「よそ様」とは言っても、1000人以上のボランティアによるデータ。やっぱり最も悩ましいのは、データがどのようにして取られたとか、どのようにして集計されているのかが分かりづらい点で、いろいろな工夫が必要となりそうです。
しかし!です。
その不便さを補っても有り余るポテンシャルを、こういったデータは秘めているのではないかと思うのです。そもそも、こういった「コモンデータ」を解析する人ってあんまり日本にいなくないですか?特に大学院生とか。もちろんオリジナルデータ取って・・という正統派も重要ですが、研究室に1人とか2人とかはコモンデータを生かした研究も進める人がいてもいいような気がします。もちろん既存データを解析する場合は、特に明確なビジョンが必要だと思うので、研究室としての目的や方針次第でもあるんでしょうけれど。
そうやって自由にどんどんデータが解析されて、いろんな分野で成果が出てくれば、そういったデータの重要性も示されて、保全管理問題にとってしばしば重要な(けれどなかなか実施困難な)長期的・大規模モニタリング体制の見直しにもつながるんでないかと思うのですが。
特に鳥のデータというのは、アマチュア層が厚いこともあって豊富だと思います。これまで「よそ様」のデータを利用するのは、どうも他人のふんどしで相撲をとるようなもので(とったことないけど・・)、なんだか後ろめたいことのように感じてしまっていたきらいもあります。ただ、自分が関わることで少なくとも何かプラスを産み出せるのなら、むしろそうやってあきらめてしまうことの方がよっぽど罪な気もします。
と、まぁそんなことも考えながら、「よそ様」の取ったデータ解析に悪戦苦闘する毎日なわけです。