generalityとspecialty

tatsuamano2007-01-28

やっぱりまとめて書くとかいうのは無理ですね。。。今年もマイペースで行きたいと思います。
土日の間、金沢大で行われた里地里山生物多様性保全シンポジウムに参加してきました。
総論的な話から、コウノトリ・トキの自然復帰プロジェクト、冬期湛水とカモ、水田水路と魚類、など事例報告もかなり充実していて、聞いていて非常に面白いシンポジウムでした。
なによりあまり広くない会場に250人もの聴衆が詰め掛け、地元での関心の高さを感じました。
どの講演も保全活動はもちろん、研究の面でも詳細なデータに基づいた話が多く、こうやって地元に根ざして行われている保全研究の質の高さを改めて実感しました。
一方で話を聞きながら、日本の保全研究で今後必要とされてくることについても考えてみました。
中山間地では高齢化が顕著で農地の管理どころではない、NGOやボランティアの活動も人手の限界がある、という話も聞き、やはり多様性保全や持続可能な農業というテーマも、このシンポジウムに来ていないような人にも少しずつ問題を理解してもらい、考えを変えてもらうようなことが必要になってくるのではないかと思いました。自分がゴアの本を読んだときになぜ衝撃を受けたのかについても考えました。
ひとつは、まぁこれは前から感じていたことですが、プロセス研究です。やはり研究一般に言っても、ましてや即効性が求められる応用研究ではパターン研究から入るわけですが、興味のない一般の人や専門知識のない行政官などに問題の重要性を説得するためにこそ、対象となる現象のプロセスを明らかにして伝える必要があるでしょう。そしてそのプロセス研究は国内の保全研究ではやはりまだ欠如していると感じました。
もうひとつは。実は対極になってしまうのですが、パターン研究、それも一般性を追求したパターン研究が必要であると感じました。「人間活動が温暖化を引き起こしている」というテーマは、スケールの大きさゆえにプロセス研究が困難な典型(モデル研究は進んでいるんでしょうけど)だと思います。ゴアの本も示されている数々のデータはほぼ全てがパターン研究です。それでもあの圧倒的な説得力があるのは「一般性」につきると思います。提示する数々のパターン全てがひとつの結論を支持しているという現実。これには一般性を追求したパターン研究のポテンシャルを感じさせられました。基礎生態学でも一般性を追求した結果、90年代後半にマクロエコロジーが生まれたように、応用生態学においても、プロセスに踏み入る事例研究が重要な一方で、ずっと視野を広げた一般性を求める研究、それがパターン研究であっても、がまだまだ欠けているのではないかと考えました。
このパターン研究とプロセス研究それぞれの役割については、生態学会の自由集会にも関連付けていければと思います。