論文受理

先日やっとの思いでrevisionを送った論文がようやく受理されました〜。
Amano T & Yamaura Y (in press) Ecological and life-history traits related to range contractions among breeding birds in Japan. Biological Conservation.
これまでの自分の研究は、単独種・メカニズム追求型のアプローチを取ってきましたが、特に応用の分野では、分類群全体をカバーしたパターン研究も結論の一般化につながるのでは、という考えの下に、新しいテーマを模索していた昨年の初めの仕事として行った研究です。
環境省の自然環境保全基礎調査の2時期データ(1978年+1998年)を利用して、鳥類各種の分布減少率と生態学的・生活史特性の関係を、系統関係を考慮した比較法(PGLS model)によって明らかにしました。
その結果、ここ20年間に日本で減少した鳥類は、中程度の体重(約30-200g)、繁殖力(一腹卵数×年繁殖回数)が低い、単独営巣を行う、農地を生息地として利用する、長距離渡りを行う、といった特性を共有していることがわかりました。またこれらの特性を持っているのにも関わらず減少していなかった種は、市街地をよく利用するなどの特性を共有していることが考えられました。
中型の種は生息地の消失や分断化の影響を受けやすいという理論研究があることも考えると、今後日本の鳥類については、生息地の消失や分断化・農業活動の影響・長距離渡り、などに注目したプロセス研究が求められるのではないかと思います。
この研究は自分にとっては全く新しい試みでしたが、比較法という新しいモノの見方を知ることができたという点で、今後の研究の幅を広げるきっかけになるのではないかなと思っています。