出雲のマガン

tatsuamano2007-02-20

17-20日と島根に調査に行ってきました。目的の一つはマガンの捕獲・衛星発信機装着でした。
宍道湖西岸に広がる水田地帯は西日本最大のマガン越冬地です。国内にある複数の越冬個体群がお互いにどのような関係にあるのかは、グースプロジェクトこと、東大・美唄市とのマガン研究グループで取り組もうとしているテーマのひとつです。そのため、これまで調査を行ってきた北海道宮島沼だけでなく、他の越冬地での調査も東大のMRGCHさんを中心に進めようとしています。
今回の調査には、東大・バードリサーチ・野鳥の会・ホシザキグリーン財団・感染研・アメリカ野生生物局(USGS)など、多数の機関が協力体制をとり、僕にとっては初めての貴重な経験となりました。
捕獲方法は、これまでも何度か利用してきた(といっても専門の技師が扱うのですが)ロケットネット(網の端にロケットがついていて、それを発射することで採食中の個体に網をかぶせる原理)に加え、今回は無双網という伝統的な(?)手法も試みることとなりました。無双網はカモの捕獲などにはよく使われていて、伊豆沼のブログでも最近紹介されていますね。
捕獲予定日当日。ロケットネット班と無双網班に別れ、それぞれ別々に設置された圃場の見張りを行います。僕は無双網班の見張りを担当していましたが、予想通り設置圃場周辺には群れが降りたものの、なかなか射程に個体が入りません。。入りそう!あぁいなくなった・・そんな一喜一憂が続くこと8時間。川向こうのロケットネット班から、射程に入ったかもとの連絡。その後またしばらく進展がなく、若干うつらうつらしていたその時。ドンという聞き覚えのあるロケット発射音で目を覚ましました・・・
結果、ロケットネットによって10個体を無事に捕獲。僕は捕獲後も無双網の見張りに残ったため、標識作業には関わらず放鳥にだけ顔を出すという、おいしいとも微妙とも言える役回りでした。。。
一連の捕獲作業では、USGSからの3人のガンカモ研究者が大車輪の活躍でした。北アメリカでのガン類の保全管理問題、調査体制、捕獲・追跡技術など、様々な貴重な話を聞くことができて、なかなかよい機会となりました。今後も連絡を取り合って、アドバイスをもらったりとしたいものです。

出雲のマガンはこの時期、水田雑草や一部圃場に残っている二番穂などを主に採食。今冬は一羽ヒメシジュウカラガン(?)も見られた。

出雲平野には小麦畑も多く、宮島沼周辺同様マガンによる小麦食害が見られた。

捕獲個体に標識作業をする人々。