新年度明けまして

と気づいたら更新せず3週間も経っていました・・・
新年度最初のブログ更新は、高らかにホームページ更新を宣言して!などと欲を出したのが間違いでした。そうなのです、ようやく自分のホームページを更新すべく作業をしています。始めは「土日にちゃちゃっと・・」などと思っていたのですが、やり始めるとこれがまたなかなか一筋縄ではいかないもので。自分の研究について考えを整理しなおすいい機会ととらえて、結構時間をかけてやっています。
前回の記事で四苦八苦していたサギのデータ起こしは何とか終わり、解析方針もだいぶ固まってきたかな。。ここらで論文化に進むか、もうちょっといろいろ試してみるかを悩んでいます。
そうこうしているうちに、新しく論文が受理されました。
Amano, T., Kusumoto, Y., Tokuoka, Y., Yamada, S., Kim, E.-Y. and Yamamoto, S. (in press) Spatial and temporal variations in the use of rice-paddy dominated landscapes by birds in Japan. Biological Conservation.
この研究では、水田景観に出現した様々な鳥類グループについて、環境要素の面積や不均一性の指標と生息種数・個体数の関係を解析し、鳥類の生息に正の影響を与える景観要素がグループによって、また同じグループでも季節によって大きく異なることを示しました。様々な環境が同所的に存在する景観で生物の種数や個体数が多いことはよく知られていますが、これまで景観生態学的研究が少なかった水田景観においても、環境の時間的・空間的な不均一性が鳥類にとってプラスに働いていることを示した研究です。
就職して3年目が始まったところで、ようやく就職後に始めた研究で2本目の論文を出すことができました。また、初めての景観生態学分野での論文という点もうれしいところです。今後はこの分野でももうちょっと踏み込んだ研究に進展させたいと思っています。
と、長文になるのを承知で、最後に一つだけ勝手に(他人の)論文紹介。
Kuwae et al 2008. Biofilm grazing in a higher vertebrate: The Western sandpiper, Calidris mauri. Ecology 89: 599-606. (full text)
干潟の泥表面の微生物膜がシギの渡りを支える
上記日本語ページを見てもらった方がいいとは思いますが、干潟で採食するヒメハマシギの「主食」が、バイオフィルムと呼ばれる干潟泥の表面に発達する微生物だった、という研究です。シギチとか確かに何を食べてるかよくわからない時が多いですが、微生物が必要熱量の5割も占めていたとは衝撃・・もちろん種によって状況は違うとは思いますが、桑江さんも言及しているように、多くの種が減少しているシギチドリの採食環境の捉え方をもう一度見直す必要があると感じました。水田ではオタマジャクシとシギチが競争者だったりして??
いやはやいい研究です!