つくば

今やすっかりホームグラウンドとなったつくばという街は、改めて見るとずいぶんと異色な街です。様々な研究機関が集まっているので、スーパーですれ違う人は大抵研究者(大げさ)、小学校の自由研究は親御さんの技比べ(ウワサ)、というようなところです。
そんなつくばには、自分が今の職場に来る前から何人か同世代の研究者がいましたし、こちらに住み始めてからの4年間でも、独法の任期付研究員やポスドクという形で30代前半研究者の「つくば組」への加入が相次ぎました。
独法というのも不思議な環境です。自分が研究の道を大学院で歩み始めたばかりの頃は「研究者=大学教員」というイメージでしたが、独法研究者の仕事には必ずしも教育は含まれないため、(少なくても若手のうちは)研究に自らがのめり込めるという点で恵まれた研究環境と言えそうです。
そんなつくば独法の若手研究者に可能性を感じて、何か新しく大きなことを始めたいと考えるようになったのは自然な成り行きだったかもしれません。とあるきっかけから、今回そんな可能性を模索する集まりが同世代の応用生態学研究者の間で行われました。
当然ほとんどのメンバーが互いに面識のある関係なのですが、改めて皆で応用生態学上の課題について議論するという機会は新鮮な経験でした。
皆が感じたことはそれぞれだったかもしれませんが、僕自身はと言えば、自分の抱えていた不安や葛藤、野心が多かれ少なかれ皆と共通していると感じることができ、嬉しく思いました。
自分の研究は今のままでいいんだろうかという不安、自分のやっていることは何か意味を成しているんだろうかという葛藤。そんな気持ちは、皆と語らっているうちに酔いも手伝って、何か大きなことを始められるのではという期待へと代わっていきました。
正直な話、多くの人と関わる共同研究はこれまで積極的には行ってこなかったのですが、自分自身が成長するためにも、そして本当の課題に真正面から取り組むためにも、今のままではいけないということはよく分かっているつもりです。
今回はまだ概念的な議論でしたが、今後近いうちに具体的な可能性の検討を行いたいと考えています。新しいことは始めたばかりが一番楽しい、ということも多々ありますが、何をやろうとしたかということに意義を見出し、始まったばかりの30代を賭けられるような課題を皆と探してみたい、と思っています。