次の10年

tatsuamano2010-10-31

COP10が閉幕し、名古屋議定書と愛知ターゲットが採択されました。2010年目標が採択された2002年当時はまだ研究を始めたばかりだったので、あまりピンときていなかった面もあるのですが、今回はさすがに実感させられるものがあります。次の10年は自分にとっても重要な10年となりそうです。
バス大学の共同研究者のつてで、Wetlands Internationalがヨーロッパ・アフリカスケールで行おうとしている水鳥モニタリングデータの解析ワークショップに参加してきました。
Wetlands Internationalは湿地全体の保全活動に取り組んでいますが、水鳥に関して注目すべきはInternational Waterbird Censusという欧米、アフリカ、アジア、オセアニア、南米という全大陸をカバーしているモニタリングスキームを持っている点です。本部というとかなり大きいのかと想像していたのですが、全体で25人くらいだそうです。
オランダはワーヘニンゲンにあるWetlands International本部に、Statistics Netherlands, SOVON, BTOなど英蘭両国で水鳥のトレンド解析を行っている研究者が集まり、それぞれの取組みを発表し、適切な手法について議論するというものです。13~4人の少人数で集まり一日かけて目的指向型の議論をするというのは、学会参加などではなかなか得られない濃密な経験となりました。
オランダ、イギリス組の発表に次いで、最近取り組んでいる階層モデルを利用した個体数指数の推定と他のモデルとのパフォーマンス比較について発表を行いました。事前に汎ヨーロッパ・アフリカスケールのデータも一部もらっていたので、予備解析の結果も話すことができ、またいろいろなインプットを得ることもでき、「見知らぬ東洋人」という一線はまず越えられたかなと感じました。こういった場では英語でどうしても引けを取る分、なるべく早い段階でその一線を越えておくのは非常に重要だと感じています。とは言いつつも、英語での一日は午後も半ばになってくるとどうしても頭がついていかなくなる時間帯が出てくるのは仕方ないでしょうか…
Wetlands Internationalのような国際機関が、様々な国レベルでの研究・取組みから知見を得て、国際的な多様性の評価を行うという流れは、非常に効率的で理にかなっていると思います。Wetlands Internationalは水鳥に限られますが、ヨーロッパで陸鳥に関してはEuropean Bird Census Councilという、やはりオランダにベースをおいている機関が、大陸規模での分布把握、トレンド評価、農業活動や温暖化の影響評価などを行っています。
次の10年で、日本を初めとしたアジアでもこういった取組みを進めていくために少しでも貢献していければと思っています。