チャレンジ

震災から既に3週間が経とうとしています。科学の役割、自分の専門が社会に果たせること、人間として自分がすべきこと、など、自分の価値観について根底から考え直させられるような日々が続きます。
被災者の方々が直面している困難とは到底比べられるものではありませんが、自分も新たなチャレンジをすることにしました。3月末をもって農業環境技術研究所を退職し、4月から東大の特任研究員となりました。準備期間を経て、夏から渡英して向こうでポスドクをする予定です。
農業環境技術研究所には学位取得後から丸5年間在籍しました。自分にとっては初めてプロとして研究をすることになった職場で、学生時代にはできなかった一社会人としての貴重な経験をさせてもらったと感じています。また上司や同僚にも恵まれ、とても自由な環境で研究をさせてもらいました。つくばにいる同世代の仲間との交流や在外研究なども通して、自分の想像以上に幅広い研究を展開することができ、そのことがいい成果につながったのだと思っています。
そんな中での今回の決断は自分にとって大きなチャレンジで、非常に長い期間迷いました。ただ、帰国後からずっと持ち続けていた「もっと長い間向こうの研究環境でやってみたい」という気持ち、「今を逃したらもう海外に長期はいけないかもしれない」という考え、そして何より相方を始めとした家族の心強い支えがあって、たどり着いたのがこのような答えでした。今は、不安がないと言えば嘘になりますが、もう迷いはありません。新しい環境で研究に没頭して、自分の可能性を更に広げていきたいと思っています。
迷っている間には、いろいろな本を読んだり、様々な人に話を聞いたりもしました。どんな文章や意見に触れても自分の考えを支持しているように感じられ、大きな決断では、本当の答えは自分の中では初めから決まっているものかもしれない、などと思ったりしました。その中で特に強く心に残ったものにはこんなものがありました。
- It is not the things we do in life that we regret on our death bed. It is the things we do not. Find your passion and follow it. -
Randy Pauschという教授によるスピーチでの一節です。

以下も似たような一節です。
- Twenty years from now you will be more disappointed by the things you didn't do than by the ones you did do. So throw off the bowlines. Sail away from the safe harbor. Catch the trade winds in your sails. Explore. Dream. Discover. -
確証はないようですが、Mark Twainによる言葉と紹介されることが多いようです。

同じ「船出」ということで、初めは何とも思わなかったこの曲も、今は一番心に染みます。
fanfare – Mr. Children

4月は新しい世界、新たなチャレンジに踏み出す方々も多いことと思います。日本という国自体がこれまでにない困難に直面している今、私自身もしっかりと自分の人生に向き合い、チャレンジをしていきたいと思います。