ついに

tatsuamano2011-09-18

9月も下旬にさしかかり、朝は手がかじかむくらいの気温になってきました。ぴんとした空気の中、登校するのもいいものです。
こちらでは9月は区切りの季節です。研究室からも修士を終えたり、契約を終えたりした何人かが去ることとなり、送別会(?)が行われました。送別会と言っても送別される本人が皆を家に招いたりします。そこでスロー・ジンという酒を初めて飲みました。スローベリーという実をジンに漬け込んで家庭でつくる酒のようです。飲んでいる時には知らなかったのですが、スローベリーというのはblackthornの実だそうです。Blackthornと言えばこちらのヘッジローでよく見られる白い花が印象的で、自分にとってはフェノロジーの研究で注目した種なので少々思い入れがあります。また春になって咲き乱れるblackthornの花を見られるのが楽しみなものです。

週末には嬉しいニュースがやってきました。今年の5、6、7月とリビジョンに苦悩していた下記論文がついに受理となったのです!
Amano, T., Kusumoto, Y., Okamura, H., Baba, Y.G., Hamasaki, K., Tanaka, K. and Yamamoto, S. (in press) A macro-scale perspective on within-farm management: how climate and topography alter the effect of farming practices. Ecology Letters.
有機農業を始めとする環境保全型農業の生物多様性保全や生態系サービス増進における効果は、対象となる分類群や圃場周辺の景観要素によって大きく異なることが知られていました。一方で、気候や地形はマクロスケールにおいて生物の分布や数を決める重要な要因として知られています。この研究では、日本全国の環境保全型水田で行われた調査から、特にアシナガグモ類の個体数に注目し、気候や地形が環境保全型農業の効果に及ぼす影響を(恐らく)世界で初めて検討しました。その結果、降水量や気温が環境保全型農業の効果に影響を及ぼしていることが明らかになりました。
この論文は、4月に投稿して5月にreject with resubmission encouragedとして返却され、その後、指定された再解析やモデル評価を行うために、教科書を買って一からの勉強、再解析、文章修正、と再投稿期限まで3カ月を費やしました。8月に再投稿して9月頭にminor revisionで返却、その後2週間の期限で再投稿、その後1日でついに受理となりました。最初に3人、再投稿後に新しく1人ついた査読者からのコメントはどれもハイレベルで、以前ブログにも書いたように、リビジョン中は本当に再投稿できるんだろうかと不安に思っていたのですが、やればできるものだといい自信になりました。
久々に戻った東大の暑い研究室で頭を悩ませていた毎日が思い出深い論文となりました。
最近こちら契約で日本語の打てる携帯を手に入れました。便利なサービスがあるものです。