教養

tatsuamano2011-10-01

暑い…
10月になったのになぜか29度です。明日も明後日も27度ですが、明々後日は19度です。。。
こちらに来る前からシギ・チドリ類が直面する脅威についてのhorizon scanningに関わっていたのですが、多くの研究者と分担して書きあげた論文が査読から返ってきたため、修正を始めています。
Horizon scanningの目的は保全上の将来の課題をリストアップして、研究や実践とのギャップを埋めていくことにあります。今回の論文はシギ・チドリ類と分類群が限定されているので、10人ほどの研究者が共著者となって現在の脅威と過去の脅威を挙げ、その証拠となる文献を集めてきています。分類群が限定されているとはいえ、その生息地は干潟、農地、河川、海岸と幅広いため、そこに影響しうる駆動因も様々です。それらを整理した論文を書くという作業は、情報の受け取り手と同じくらい自分にとっても知識を広げ、整理するいい機会になっていると実感しています。課題を列挙した原稿を読み返していると、鳥類の1グループだけで世界にはこれだけの問題があるのか、と暗澹とした気持ちになります。が同時に、背筋が伸びるような使命感にも駆られています。
こういった取組みに若いうちから関われることに代表されるように、こちらでは自分の見聞や教養を広げられるような機会が多いように感じます。毎日の「ティータイム」や、週一の研究室ゼミには、ビルや他のメンバーを訪ねて本当に様々な人がやってきます。著名な研究者、保全機関の人、政治家からグラントの提供者まで。名前を知らないことはざらで、その人がどの分野の人なのかあらかじめ分からないことも多々あります。それでもその人の隣に座ったら最後、当然相手の話を聞いて、自分のことを話して、となります。英語がついていかないことも多いのですが、自分のような閉じこもりがちなタイプが見聞を広げていくには助かる仕組みだと感じています。
今週は、動物学部全体のセミナーで発表した植松圭吾さんと知り合うという偶然もありました。東大から3カ月間の滞在中で、また改めて長期来られるかもしれないとのこと。同じ所属の日本人の研究者と話すというのも新鮮な体験でした。
また先日ビルの自宅に夕食に招かれた際に、イシチドリのねぐら発ち(?)を見せてもらうことができました。ビルはケンブリッジからかなり離れた郊外に住んでおり、英国内ではかなり分布が限られているイシチドリが、自宅から徒歩圏内の放牧地で繁殖しています。現在は、繁殖を終えた個体が100羽単位でねぐらをとっており、放牧地一面にイシチドリが広がっている様は壮観でした。陽が暮れていく中、少しずつ周囲の農地に採食に飛び立っていくイシチドリを見送り、ビルや奥さんのニコラと如何に黄海の状況が深刻か話したり、満点の星空を見ることができたり、といい時間を過ごすことが出来ました。

夕暮れの中、イシチドリが飛び立っていく(映ってません…)。