アイデンティティ

tatsuamano2011-11-21

ここのところ一段と冷えるようになり、冬の到来を感じています。
朝はジメっとした霧のかかった曇り空で始まり、午後4時過ぎに暗くなると街にはクリスマスのイルミネーションが輝くようになりました。クリスマスまでカウントダウン的な雰囲気になると、こちらの人々のモチベーション低下が心配です。もうお休み気分になってきてしまう訳です。まぁ研究者は一般の人に比べるとそうでもないかもしれませんが。。。
先週金曜には、所属する動物学部のEcology Lunchtime Seriesというセミナーで、Unravelling ecological dynamics at a macro scale: application of hierarchical models と題した発表を行いました。生物多様性保全においてマクロスケールでの生物動態を明らかにすることの重要性、マクロスケールデータを扱う際の問題とモデリングアプローチについて、イギリス植物の開花時期変化と日本の水田における有機農業の効果、という二つの最近の研究成果を例に紹介しました。
30分ほど、久しぶりの英語でのちゃんとした発表だったので準備や練習もそれなりに大変でしたが、緊張しながらも無難に終わらせることができ、ほっとしました。初めてケンブリッジに来て、このセミナーでD論の内容を話した時のことを思い出しました。あの時の緊張といったら今の比ではありませんでしたが、この3年間で少しは成長できたかなと感じた点は質疑応答です。スムーズとまではいきませんでしたが、質問に応じた答えをそれなりに説明することができ、満足しています。次のステップとしては、もっと堂々と、自分の研究の魅力を英語でも存分に伝えられることを目指していきたいと思っています。
特にこちらに滞在していると、セミナーでの発表は自分のアイデンティティを伝える上で非常に重要な機会だと感じます。受入れ教官はもちろん例外ですが、所属研究室や関連研究室のメンバーは分野も幅広く、お茶の時間やラボランチで話す機会は多くても、具体的な研究の話をすることはそう多くありません。英語で伝えられる能力が低いとなおさらです。
その中で、十分な時間が与えられ、多くの人が自分の話を聴くためだけに集まってくれるセミナーでは、遠慮することなく自分の興味、スキル、成果などを存分に伝えることができます。興味や分野は違えども、相手も自分もやはり研究者です。研究の話でアイデンティティを伝えられることが、自分の立ち位置を決めて行く上でとても重要だと感じています。
今更ではありますが、そんな人とのコミュニケーションについて、最近になってよく考えるようになりました。
セミナーも終わって、そろそろクリスマスか…と気を緩めていると、共同研究者からいろいろなメールが同時に舞い込みました。彼らが長期休暇に入ってしまう前に、もうひと頑張りしたいところです。