プロジェクト

ジョニーイングリッシュ・リボーンという映画を鑑賞。ローワン・アトキンソンがスパイに扮する007のパロディ的コメディです。相当おバカな映画ですが、何度も笑いが止まらず困った…英語的にもこういうコメディは分かりやすく助かります(笑)
それはともかく…
最近ふとしたきっかけで、オーストラリアの研究グループが始めるプロジェクトに少しだけ関わることになりました。先方が出してきた論文や、プロジェクトの内容を聞くにつれ、研究プロジェクトの進め方に改めて感心させられました。
研究を中心的に進めているのは、ジャネット・ガードナーという研究者ですが、彼女は鳥類の体サイズが温暖化に伴って小さくなってきていることを2009年にProceedings B誌で発表し、今年にはこのトピックについてこれまでの知見や今後の課題をレビューした意見論文をTREE誌に発表しています。その後、そのTREEで自らまとめた今後の課題や可能性をそのままプロジェクト申請して予算を獲得し、来年からまさにその課題を推進していかんとしているわけです。
さらに進んだプロジェクト展開は、以前紹介したland sparing/land sharingの研究を行っているケンブリッジのグループでも見られます。元々このコンセプトはリース・グリーンらが2005年にScience誌で発表した理論論文が始まりだったのですが、その後2008年くらいからでしょうか、二人のドクターがガーナとインドで実証研究を始め、既に紹介したように今年Science誌にその結果が掲載、来年からはさらに新しい学生が少なくとも二人、東欧と中米で実証研究を始める予定です。理論から実証、一般性の検証、という一連の流れについてはこちらの記事も参考になります。
さらにどちらのプロジェクトも、TREE、Scienceで発表した論文に対しては意見論文が発表され、それに更にレスポンスを行うことで議論をさらに深めています。
そんなプロジェクトを目の当たりにして自分の研究を振り返ると、D論以降は一発ものが多いなと実感します。様々な研究対象に興味が出てきて、やりたいことがどんどん広がっていて、その分ひとつひとつの研究は論文を一つ書いて一区切り、となってしまっています。幅広く多くのことを学べるという利点もあるのですが、やはり上記のようなプロジェクトが進められていくのを見ると、ひとつひとつのトピックを深め、育てて発展させていくことの重要性、そして何より魅力を実感させられます。
研究のスタンスは人や、同じ人でも年代や環境によって異なって然るべきだとは思います。しかし一方で、自分にとって新しい研究スタンスというのは一朝一夕には確立できないものですから、新しいチャレンジを続けるためにも、プロジェクトと言える研究を作っていく意識も育てていきたいと感じています。