詳しすぎるbird facts

tatsuamano2011-12-04

気をつけて見ていると結構あるもので、うちにも何だかHenryグッズが増えてきました… が、上に乗っているキーボード掃除機は髪の毛一本吸わず。。本家の掃除機は大変よく吸います。
最近は、1年ほど前から伸び伸びになってしまっていた植物開花時期の論文原稿をようやく完成させたり、今度の生態学会で発表する内容の論文原稿を書きあげたりすることができ、新たな解析を進めています。
その関係でイギリスの鳥類種の特性を調べる機会があったのですが、改めて本当に多くの情報があるなと感心させられました。
本で言えば、”Birds of the Western Palearctic”。ヨーロッパ、中東、北アフリカの鳥類について、各種の生態・形態について情報が載せられているのですが、これがまた細かい。Oystercatcherの行動だけでぎっしり4ページ程もあるのです!掲載されている情報の多くに元の引用文献があるのも嬉しいところです。図書館の人が本の名前言っただけで場所まで分かってしまうのも、またすごい。
Websiteで言うならば、BTOがまとめているBirdFacts。図鑑に載っているような情報に加え、分布や個体数、繁殖パラメータの変化や様々な生息地タイプでの出現頻度まで、生態学的な内容が特に充実しています。例えばcorn buntingの場合はこのような感じ
イギリスの鳥類の個体数変化については、2010年のレポートが既に出版されていました。写真がたくさんあってカラフルで且つ分かりやすくて、ページをめくっているだけで何だかちょっと嬉しくなってしまうのは私だけでしょうか…?専門家以外にも分かりやすい造りになっているのではないでしょうか。より正式なものとしては、DEFRA(環境・食料・農村地域省)から”statistical release”としてつい最近発表されています。
そんな一連の整備された情報を眺めていると、知識の蓄積というものを肌で感じられるような気がします。今こうやって完成して見える情報は、ひとつひとつの地道な調査や研究の成果が形として発表され、それをまとめる作業があって、ようやく図鑑の一項目やウェブサイトの1ページにおさまっているわけです。そしてその情報も、自分を含めた多くの研究者に利用されて、また新しい知識を生み出していくことになります。
自分も含め、どうしても研究の重要性は「面白さ」や「インパクト」で測ってしまいがちなのですが、その「面白さ」や「インパクト」ではそれほど目立たないかもしれない数多くの研究が、こういった知識の蓄積においては欠かせない役割を果たしています。
そんなことを考えると、ひとつの研究を行って論文として発表していくという一連の作業の重要さが実感できるとともに、そんな知識の蓄積に貢献していける科学者という職業の魅力に、改めて気づかされています。