マクロエコロジーとツイッター

tatsuamano2012-06-29

帰りがけの挨拶で、"Have a good evening!"というフレーズを最近よく聞くような気がします。夜は22時まで明るく、仕事後にもイベントごとの多い夏だからこその挨拶なのかもしれません。が、返答はどの季節でも"You too!"でOKです(笑)。
さて2011年のインパクトファクターが発表されました。関連してインパクトファクターの是非に関する議論も再燃。いくつか目についたホームページは下記のあたりです。
http://methodsblog.wordpress.com/2012/06/29/mee-has-an-impact-factor/
http://jabberwocky.weecology.org/2012/06/29/three-ways-to-improve-impact-factors/
関連して、論文や研究の評価について議論する論文を読む機会がありました。
69%の論文を受理するPLoS ONEの論文は、受理率が15-20%の生態学トップジャーナルに掲載されている論文と同等のインパクト:
http://library.queensu.ca/ojs/index.php/IEE/article/view/4351/4346
Peer-review filterの是非:
http://library.queensu.ca/ojs/index.php/IEE/article/view/4322/4311
二つ目の論文のAarssenさんは過去に関連の論文をいくつか出しており、杉浦さんのブログでも紹介されています。
http://d.hatena.ne.jp/naturalist2008/20090821/1250825236
http://d.hatena.ne.jp/naturalist2008/20090310/1236662974


もうひとつお知らせです。
Student Conference on Conservation Scienceという、保全生物学に携わる学生のための学会が毎年ケンブリッジ大学で開催されており、以前の大会についてはこのブログでも紹介しました。
この大会はその後拡大し、今や姉妹学会がインドやアメリカでも開催されています。今年8月に開催されるインドでの大会への発表申し込みは締め切られていますが、来年1月、Asia-Pacific regionの学生を対象としてオーストラリアでも開催されることとなりました。
この学会は基本的に学生(+ポスドク)が参加者であるという点が通常の学会と異なる点です。世界各国から集まった、保全に情熱をもつ同世代の学生から刺激を受ける、とても貴重な機会になることと思います。さらに通常の学会に比較して、発表以外にもワークショップやフィールドトリップなどが豊富な、より参加型の色合いが強い学会です。今回はかのPossingham氏のお膝元、University of Queenslandで行われるということもあって、GIS, Marxan, R, GLM, Bayesian Statistics, Spatial Conservation Planning, Decision Theory, … と数多くの魅力的なワークショップが計画されています。これら英語で開催されるワークショップに参加することで、海外での研究生活を感じられる機会にもなることと思います。
場所もオーストラリアですし、もう自分が学生なら行きたいくらいですが、興味のある方は是非ウェブサイトを覗いてみてください。今日からちょうど、online applicationが始まったようですね。


さて私はと言えば、先週に開かれたイギリス生態学会マクロ生態学グループのミーティング、”What is Macroecology?”に参加してきました。イギリス生態学会ではspecial interest groupというサブテーマごとのグループが設置されており、今回は新しく設置されたマクロ生態学グループによる初めてのミーティングでした。
会場はイギリス生態学会の本部があるロンドン・チャールズダーウィンハウスです。もちろん学会ほどの大きな会場ではないのですが、イギリス各地から非常に多くの参加者が集まっており、分野の盛り上がりを感じさせられました。最初の趣旨説明にもあったように、今やマクロ生態学は気候変動や外来生物の影響評価、ホットスポット評価など、多くの応用課題において重要なバックグラウンドをなしており、イギリスでも学生から中堅研究者までの若手に非常に人気のある分野となっています。
ミーティングではリラックスした雰囲気の中、各細分野の専門家から、マクロ生態学概論、理論、群集生態学や生態系生態学との関わり、温暖化研究や進化、病気に関する研究との連携などについて基調講演があり、分野全体について概観して勉強するいい機会となりました。個人的な興味も多分に絡んでいますが、マクロ生態学の発展を制限している一因としてのデータの欠如や分類学的・空間的偏りに、今後どのように取組んでいくかという問題が、特に重要なトピックとして感じられました。
参加者はポスターを貼ってもいいとのことだったので、前回の生態学会で発表した内容をポスターにして発表しました。が、こちらでのこういった場でのポスターの軽視ぶりは相変わらずで…誰かのワインのつまみ程度になったらよかったのですが…
今回のミーティングは、ツイッター上でしか知らなかった人と直接会ういい機会にもなりました。去年の冬にひっそりと英語でツイッターを始めてから半年、大した情報提供はしていませんが共同研究者以外のこちらの研究者とも少しずつ繋がるようになってきました。「ツイッターフォローしてるよ!」と声をかけられると、ブログを始めた頃に学会で「ブログ読んでますよ」と言ってもらえた時のことを思い出します。英語で頻繁にブログを書くのはちょっと大変だと思いますが、英語では日本語よりさらに少しのことしか書けないツイッターは、英語が苦手な人が英語研究コミュニティーに入っていくために便利なツールではないかなと思っています。
そして今回感じたのは、マクロ生態学者はツイッター利用率が多い…?そもそもイギリスでは日本ほどツイッターは普及していないように感じますが、今回のマクロ生態学ミーティング関係者はツイッター利用率が高かったような気がします。自分で勝手に考えたのは、
マクロ生態学→データ解析がメイン→モデリングやPC関係に興味→ツイッター利用率高い
という仮説ですがどうでしょう…?
また何か面白い情報があれば、こちらでも紹介できればと思います。