デンマークとマクロエコロジー

tatsuamano2012-10-07

参加しているプロジェクトのミーティングのため、デンマークコペンハーゲンを訪れました。コペンハーゲン大学のCarsten Rahbekが所長を務める、Center for Macroecology, Evolution and Climate (CMEC)が目的地です。
CMEC以外にも同じくデンマークのAarhus University, イギリスのUniversity of East Angliaからもマクロ生態学者が参加し、ビル、自分も含めて総勢7名でプロジェクトの進捗状況や今後の方針などについて、生産的な議論を行うことができました。この日のために何とか揃えた解析結果が本場のマクロ生態学者にどのように受け止められるか期待半分、不安半分でしたが、進捗状況の報告後には好意的なコメント、有用なアドバイスを数多くもらうことができ、ほっとしました。
デンマークではマクロ生態学が非常に発展しています。というよりも、デンマークにおける生態学がマクロ生態学によって牽引されていると言った方が正しいかもしれません。コペンハーゲン大のCarsten Rahbek, オーフス大のJens-Christian Svenningといったまだ40代の優秀な研究者によってそれぞれの大学に拠点が築かれ、インパクトの大きい論文が数多く発表されています。
今回訪れたコペンハーゲン大のCMECも、とても優れた研究拠点だと感じました。何しろMacroecologyを名前に冠している研究センターというのもなかなか少ないのではないでしょうか。研究棟の1フロア全体が関係研究室のスペースに充てられ、生物の分布、移動、種分化、絶滅、生物間相互作用、気候変動など、大スケールにおける空間生態学を行っている教授陣、ポスドク、学生が相当数所属しています。
休憩室(?)がものすごく北欧。
GIS室。
会議室に掲げられた巨大な世界地図は、センター全体の視線を明確に示しているように感じました。Carstenによると、このセンターを作ることになった際、まずこの世界地図を探したそうです。このサイズのものがなかなか見つからず3カ月かかったそうですが、今回のミーティング中にも話を進める際にこの世界地図は頻繁に使われており、保全グループの新センターを作ろうとしているケンブリッジでも是非これを導入しよう、とビルも興奮気味でした。

後日、GBIF本部も併設しているコペンハーゲン動物学博物館に訪れた際に何となく感じたのですが、小さくて隣国と地続きのデンマークは、必ずしも生物多様性の面で特徴的な国とは言えないと思います。その立地の中で、より生態学の進んでいる英国など他国と差別化を図っていくためには、全世界を対象としたマクロ生態学がまさに進む道だったのかもしれません。

ミーティング後も2日ほど滞在して、ケンブリッジでの元同僚にコペンハーゲンを案内してもらいました。短い時間で見た限り、コペンハーゲンは小ぎれいで、危険な雰囲気もなく、とても住みやすそうな街という印象を受けました。研究者はもちろんのこと、街の店員などもとても流暢に英語を話します。食事も…イギリスよりはだいぶいい…かな?海外でのマクロ生態学を志す人にとっては、上記2大学は有力な候補になるのではないかと思います。
ニシンの酢漬け+ライムギパン
デーニッシュペイストリー
デンマークの典型的な軽食。ミートボール好きにはたまらない一品。

間違いなく一番人気の人魚姫。陸から海からすごい人。過去に二回、首を切り落とされているそうです…