Silwood Park

tatsuamano2013-05-20

インペリアルカレッジのSilwood Parkでセミナーの発表を行ってきました。ロブ・ユーワーという何度かあったことのある研究者とメールのやり取りをしたときに、せっかくなのでとお願いしたところ、招待してもらえることとなりました。
とはいえそのロブは当日いないとのことで、会ったこともなかったのですが興味が近いと勝手に思っていたディビット・オーメにホストをお願いすることとなりました。彼はホットスポットに関するこの論文や、種のレンジサイズに関するこの論文など、重要な研究をいくつも発表しています。
会ったことがないだけにどんな人だろうかと思っていたのですが、到着して発表の準備をしている最中に、「以前日本に住んだことがあるんだよね。」とぼそり。何でも高校卒業後、英語教師をするプログラムに参加し、北海道・洞爺湖近くのとある町で1年間、幼稚園から高校まで英語を教えていたそうです。もう20年近く前のことだそうですが、未だにひらがなが読めたり、様々な単語を覚えていたりと、ずいぶんな親日家でした。論文を見て一方的に知っていた人が日本とそんなつながりがあることにはとても驚いたのですが、そんなこともあって気持ちよく迎え入れてもらうことができました。
発表は、Tackling barriers to the global understanding of biodiversity conservation と題して、全球規模での多様性データ分布の偏りとその駆動因について、そして現存するモニタリングデータや市民調査データを有効活用するためのモデリングについて、自分の行ってきた研究を紹介する形で進めました。特に前半で話した英語がデータ分布に及ぼす影響については、英語ネイティブスピーカーからは「植民地化などの歴史的要因と切り離せないのではないか」、非ネイティブからは「英語がコミュニケーションに与える影響は絶対に大きい」、という意見をそれぞれもらって、なかなか興味深かったです。
その他にも、ミック・クローリーが必ず毎日5時に現れるという大学のバーで、やっぱり本人と出会ったり、彼やディビットからハッセルとメイを初めとしたSilwoodでの生態学研究の歴史を聞いたり、翌朝広大なキャンパス内を散歩したり、と有意義な時間を過ごすことができました。
Silwood Parkで現在修士課程に所属している唯一の日本人、本木さんとも知り合うことができました。やはりこちらでがんばっている日本の方の話を聞くのはとても励みになりますね。またこのような機会があった時には、より多くの人に、より魅力的な話を伝えられるよう、これからもがんばっていきたいと思います。


ミック・クローリーが毎日5時に現れるバー。

研究の対象にもなっているアナウサギによるgrazing

広大なキャンパスを歩いていくと…

敷地内に湖があります。

季節がら、Bluebell woodsと呼ばれている林床に咲き誇ったイングリッシュ・ブルーベルの花もきれいでした。