インテコル参加
INTECOL2013での濃密な1週間が終わりました。地元という気楽さと、日本から参加された方々とも久々に会えるといういいとこ取りで、間違いなくこれまで参加した国際学会の中でも最も楽しめた大会のひとつだったと思います。
分野や地域、全てをひっくるめた大規模学会だったため、自分の興味に合わせて本当に多様な話を聞けたのはよかったです。セッションの数が多すぎて聴きたい発表を全て聴くことはほぼ不可能でしたが、大きい学会ではある程度は諦めなければなりませんね…
イギリス生態学会100周年記念を兼ねていたということもあって、プレナリーレクチャーを初めとして豪華な発表者の顔ぶれが揃っていました。ティルマン、ハンスキー、サイモン・レビン、ジョン・ロートン、ロバート・メイなど、初めて見る著名な研究者も多く、そんな研究者の話を一時に聴くことができたのも貴重な経験でした。研究室から同行したドクター生・ホセはハンスキーに並々ならぬ憧れを抱いており、ティータイムに本人を目の前に話しかけられずモジモジしていたので、10年前の自分を思い出して文字通り背中を押してあげました。
最終日前日に開かれた100周年記念パーティーもすごい盛り上がりでした。
ジョジーナとビルによる夫婦漫才的な司会からの…
ライブミュージック!
何と言ってもロケーションがすごい。
自分の発表も練習の甲斐あってうまく行うことができました。内容が言語の絶滅という少し突飛なものだったこともあって反応が少し気がかりだったのですが、聴きに来てくれた多くの方々から好意的な反応をもらえて、少なくとも生態学者には受け入れられやすい考え方なんだなと実感しました。
この大会ではtwitterがずいぶんと活用されていましたね。そもそもプレナリーレクチャーの質問をtwitterで受け付けるというのも斬新でしたが、自分の発表についても発表中に要約を投稿されたり、後に質問を受けたりと、twitter上での反応が少なからずありました。以前から、学会参加者が自分の聴いた発表について大量に投稿するのはちょっとどうなんだろうと思っていたのですが、自分の発表を取り上げてもらえるのは正直嬉しかったですね(笑)。
大会期間中にずっと感じていたのは、今自分が生活しているイギリスと生まれ育った日本という二つの世界を、行ったり来たりするような不思議な感覚でした。もう少し正確には欧米と東アジアという二つの世界でしょうか。そしてこの二つの世界は本当に違っているんだなと改めて実感しました。言語はもちろんのこと、文化や考え方など。自分の中でその二つがなかなか融合しないのは、新しい感覚でした。「日本生態学会100周年の時にはバンドのライブがあったりするでしょうか?」「…あっても太鼓でしょうね。」などと日本の方と話したのも印象的でした。
最近の自分の研究成果のこともあって、ここのところそんなことがぐるぐると頭のなかを渦巻いています。今年発表した論文では、英語や地理的な位置が国際的な研究ネットワークに参加するうえで大きな障壁となっていることを示しました。一方、今回発表した内容で言語絶滅の一番の駆動因となっていたのは、経済発展に伴うグローバル化でした。日本人研究者は、そんな矛盾するような事実のど真ん中に立っています。そんな中、世界の中の日本人としてどうやって進んでいけばいいのかは、自分の中でもまだ文章にできるほどには考えがまとまっていません。
日本生態学会が100周年を迎える頃、そしてイギリス生態学会が200周年を迎える頃、果たして世界の中における日本の研究者はどのようになっているのでしょうか。
と、そんなことを考えながらも祭りのようなインテコルが終わり、また元に戻っていつもの生活ですね。気持ちを新たに頑張っていきたいと思います。