ミミジロコバシミツスイ(white-plumed honeyeater)が示す長期体サイズ変化は温暖化が原因か?

Gardner, J.L., Amano, T., Mackey, B.G., Sutherland, W.J., Clayton, M. and Peters, A. (in press) Dynamic size responses to climate change: prevailing effects of rising temperature drive long-term body size increases in a semi-arid passerine. Global Change Biology.
約2年前にオーストラリアの研究者と始めた共同研究がようやく形となりました。
オーストラリアに生息するwhite-plumed honeyeaterという鳥の23年に渡る捕獲データを用いて、気候変化に伴う体サイズ変化とそれに関わる駆動因について検証を行っています。事前の仮説では、平均気温の上昇は体サイズの小型化に、熱波の頻度増加は体サイズの大型化につながると考えましたが(仮説についてはこちらを参照)、実際には平均気温の上昇、熱波の頻度増加は共に体サイズの大型化につながっているようで、結果としてこの種の平均体サイズは近年大型化していました。この二つの変数の間には相関もあり、単独の効果がうまく検出できなかったという可能性もあります。一方、他にも生産性や降水量など体サイズと相関を示す環境要因は複数あり、長期的な種の体サイズ変化を決定するメカニズムの複雑さと、それを非常に分散の小さい体サイズデータから明らかにすることの困難さを思い知らされた研究でもありました。
筆頭著者であるジャネットのオフィスに缶詰め状態で研究を進めていた合間に連れて行ってもらったバードウォッチングで、まだ見たことのなかったwhite-plumed honeyeaterを発見した時の興奮はいい思い出です。


Image credit: Ron Knight, via Flickr Creative Commons licence.