Altmetric it

Research Excellence Framework (REF)という、イギリスにおける高等教育機関の研究成果を一斉に評価する取組みが来年行われるそうで、大学の事務はその準備に忙しくしているようです。システム上の業績リストを各自確認してほしいというメールが学部事務から届きました。
このメールで初めて知ったのですが、大学に所属する研究者の業績はSymplecticというシステムによって管理されており、私のページも既に整備されていました。誰がどこまで手動で整備しているのか分かりませんが、様々なデータベースで検索にかかった論文業績がリスト化され、学内の共著者ともリンクされています。これらの中から各人数本の論文がREF2014の評価のために使われるということのようです。
自動的に業績リストがアップデートされていく点や、引用数などの評価指標が整理されている点はGoogle scholar profileとあまり変わりませんが、Altmetric score(下図右下)が各論文で示されているのが印象的でした。

Altmetric scoreは、ソーシャルメディア、個人ブログ、新聞や商業雑誌など従来のメディア、Mendeleyなどのオンライン文献管理サービスにおける反響を論文ごとにまとめてスコア化するシステムです。各論文のスコアが、同じ雑誌に掲載されている同時期の論文に比べてどうなのか、なども一目でわかるのがすごいところです。最近ではWileyの雑誌Natureでも利用されているので目にしたことがある方も多いかもしれません。
例えば、最近の自分の共著論文で最もAltmetric scoreが高かったのは Sutherland et al (2012) Ibis でした。
Altmetric scoreの利点は、やはり評価の即時性が高い点だと思います。最近の論文の評価ではさすがにもう掲載雑誌のIF値ではなく、引用数が用いられることが多くなってきていますが、引用数がある程度揃うまでには時間がかかることも事実です。その点、例えばこの報告(PDF)によれば、公開後3日間のツイート数やMendeleyの保存数はその後の引用数と関係があるため、Altmetricsが高被引用論文の先行指標となる可能性が指摘されている、とのことでした。
Altmetric scoreはブックマークレット "Altmetric it" を用いることで、誰でも好きな論文を評価することができます。アイコンをブックマークバーにドラッグすれば、後は作成されたブックマークを論文のページでクリックするだけで、瞬時にスコアが算出されます。
自分の論文への評価は気にしすぎても仕方ありませんが、やはり世界の反応が見られるというのは嬉しいものです。まだ試されていない方は是非、"Altmetric it!" とつぶやきながらクリックしてみてください。